狂言水如(きょうげんみずのごとし)

酒飲みの中年親父が色々な事を呟きます。

Made In 俺 と自立


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2020年2月28日。
前日の2月27日はドミニカ共和国独立記念日ということで、外へ出てイベントやお祭りに参加したり、大統領の演説を聴いたり、または自宅でゆったりと過ごす人もいたり様々である。知人の中には「ビール15本(一本650ml)飲んだよ!だって昨日はお祝いの日だからね!」と、あっさり言い放つ猛者もいる。ここドミニカ共和国にも、飲酒文化はしっかりと根付いており、夕方になればバーは勿論、コルマド(個人商店)の店先に椅子とテーブルを並べて、プレシデンテビールを飲む姿をよく見かけるが、日本の様に泥酔したり酔って大声を出す人は殆どいない。治安の問題だろうか?それとも日本の様なストレスを受ける機会が少ないのか?よくはわからないが、穏やかにお酒を楽しんでいる様に見受けられる。

日本にいた頃は私はそれこそ、連日立ち飲み屋に出かけ、長々と酒を飲んでいたものだ。酒場で出会う一見さん、顔なじみの人、マスターと色々な話をするのが好きで、そこから得られた情報も多かった。また、自分の持っていたネタや情報をアウトプットすることで整理できていた面もあったが、現在は日本と異なる飲み文化の国で、なおかつスペイン語で話さなければならないという高いハードルがある為、以前の様に人々と交流することが難しい。いつになればスペイン語が上手になるのか?道のりは険しいと、帰り道いつも自問自答している。

 

さて・・・・日常生活の中で必ず訪れる場所、スーパーマーケットや大型量販店。ここドミニカ共和国にもIKEA、Plaza Lama、BRAVOなどといった、日本やアメリカでみかけるものと同等クラスのものが多数存在する。日用品の買い物も、日本にいた時と比べ80%以上のクオリティですることが可能で、今現在不便を感じていることはない。が、しかし、店内に陳列されている日用品を見ると、生鮮食料品とビールを除き、大半が米国やメキシコからの輸入品で占められている(若しくは米系会社製品である)。シャンプー、歯磨き粉、洗剤など、驚くほどにmade in Dominican Republicがないのだ。そしてその価格も、日本やアメリカで購入する時とほぼ同額か、若干高い事もある。平均月収250ドル(2019年時点)のこの国で、それなりに買い物をしようとすれば、外国送金に頼らざるを得ないのではないかと推測する。

高額の輸入品を”買わされている””買わざるを得ない”状況に陥っている現在、独立を果たしたとはいえ、依然として欧米の経済植民地としての立ち位置が継続していると言わざるを得ないのではないだろうか。

ドミニカ共和国でビジネスをされているある人にこの疑問を投げかけたところ、以前は大手メーカーがこの国に工場を建てて製造しようという動きがあったが、途中で頓挫してしまったそうだ。「決められたことをきちんとできないから」だそうだ。飲食店でも、マニュアルを作成してもなかなかその通りに作業をやってくれない人が多いとかで、その影響もあるからなのか、多くの日系人が暮らすにも関わらず日本食関連のレストランや店舗は非常に少ない(テリヤキなどの日本食っぽいものはある)。仕事でも学校でもよく「言われたことだけしていてはダメなんや」と当たり前の様に口酸っぱく教育されてきた私だが、言われたことをきっちりやるという事がどれだけ凄いことなのか、地球の反対側へ引っ越してきて痛感するとは思いもしなかった。

勿論仕事をきっちりとこなす優秀なドミニカ人もいるが、そういう人はアメリカやスペインへ渡ってしまい、帰ってこないそうだ。

マンゴー、バナナ、パパイヤなど、フルーツが潤沢に穫れるドミニカ共和国。食いもんはそのへんにあるやつをとって食べればええんやという文化風習が根底にあるからなのか、モノづくりなど、何かをコツコツ積み上げていくという事には不得意な印象を日々受けている。

日本でも昨今は製造工場を海外へ移転し、日本人自ら手足を動かす頭を動かすという機会が減ってきている気がする。その結果、特に通信技術や半導体業界では大きく後塵を拝する結果となってしまった。ものづくりの国日本の復活へ、再考させられる点は多い。

国の礎を築く技術、人間の脳から生まれて世の中を動かすものは技術以外にないという事を改めて考えさせられた。

モノを生み出す、技術を守ることは、安心を手にすることと同じなのかもしれない。

さて、今夜はご飯を炊いて、パパイヤジュースでも作ろう。完全自作。安心安全だろう、多分・・・・