狂言水如(きょうげんみずのごとし)

酒飲みの中年親父が色々な事を呟きます。

文字と文字の狭間で

コロナ感染拡大以降急速に普及したオンラインでの人的交流。我が国でも仕事ではテレワーク、またプライベートではオンライン飲み会等、2019年まででと全く違う働き方生き方が求められる時代になった。利便性を感じる日々、長時間通勤のストレスから解放された喜び、他人の干渉が入りにくい等、開始当初は大歓迎のムードだったが、最近では必ずしもそうではない意見が聞かれるようになった。

直接対面しない故に、元来なら感じる事ができた空気感が伝えられず、利便性が逆にコミュニケーション不全を引き起こしているのだ。筆者もオンライン会議、オンライン飲み会を何度か経験したが、相槌の入れるタイミング、提言や反論を始めるタイミング、他の人が発言をしようとしているか否かの空気感など、生では感じられていた物が伝わらない事実に最初は非常に戸惑った事を覚えている。

BBSやSNSの普及が進み、ネット上でやり取りする回数が増えてきた時の事、普段は比較的攻撃的な文章の書き方をする人に対して「難しいだろうな」という印象を抱いていたのに、実際にお会いすると非常に柔和で打ち解け易かった事が幾度とあったが、その時に「実際にきちんとお会いして話す事が誤解を解いたり互いの意思をより正確に伝える為には必要だ」と強く感じたものだ。

例えば「こんにちは」のご挨拶。本ブログやメール等のやり取りだと”文字通り”「こんにちは」「ええこんにちは」の僅か二単語で終わってしまうやり取りが、実際に会って声をかけた時には、発した人或いは返事をした人が、発した言葉のトーンや顔の表情、言葉の間等、読み取れる様々な情報から相手の心情を慮り「今日は元気がないのかな?」「辛い事があったのかな?」「昨日は楽しい事があったに違いない」「珍しく機嫌がいいな(笑)」などと相手の状況に応じてかける言葉を選ぶ事ができる。彼氏彼女と会いづらいコロナ下の中では、オンラインでのデートがメインとならざるを得ず、通常なら発生していなかったであろう(?)喧嘩や想いの行き違いを感じている人も多い事かと思う。

ドミニカ共和国でも対面式の授業を再開させる動きが出始めているが、特に対人コミュニケーションに於いて互いの距離が近いドミニカ人にとっては、オンライン授業やオンライン会議というものは日本人以上にコミュニケーション不全を起こしたりストレスを感じさせているのではなかろうかと推測する。

「この人はコミュニケーションを取るのが苦手だな。では極力対面で話す事は控えよう」という事を知る為にも、やはり実際に人と会うという事は重要なのだという事を改めて感じさせられたし、また無機質な文字だけのやり取りだと誤解を生みやすいので、きちんとした文章を書く事を心がけようと自戒した。

文字と文字の狭間にある感情、0と1の狭間にある意図を汲み取る為にも、以前にも増して真剣に相手と向き合っていこうと思う。